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アンガージュマンとエンゲージメント

人事

 来年日本に帰ったら九州旅行をしたくて色々調べていたら、まとめサイトの多いこと。絶対に行くべき鹿児島50のスポットとか(多いよ)とかベストグルメ10(コンセプトばらばら)とか、凄く沢山まとめられている。

 便利なんだけど、なんだか白けてしまった。自由な旅なんて思いついた瞬間だけで、実際計画を練り始めたらその内容は時代と社会に大いに拘束されるよな、と思った。

 なんだかそういう話があったよな、と思っていたらアンガージュマンという言葉がふと思い出され、Google検索してみたら「Engagement」のフランス語読みだった。便利だ。ちょうどEngagementについて考えなくちゃならないことから逃避していたので、笑ってしまった。逃げられない。

 

 Engagementというのは人事のここ数年のトレンドワードの一つで、『企業の目指す姿と個人の目指す姿の一致の度合い』、という風に私は理解している。

 愛社精神や帰属意識とは若干異なる概念で、従業員、会社双方の自発性を前提としている。主体性を持つ個人が共感、理解できるよう企業は自らの目指す方向を示し、個人を振り向かせるとともに、企業自身も個人の方向性に沿って自ら軌道修正を行う営み、ということだ。

 Engagementの高さは、企業の売上げや持続的成長に寄与するという研究結果があることから、これを高める施策が人事のトレンドになっている。一般的にEngagementが高いとされる企業はGoogleやApple、Star backsなど。一方で、ある調査によれば日本人は企業に対するEngagementが低いとのことだ。分からんでもない。

 

 Engagement施策は企業の数だけある。

広く応用可能なBest Practice的な施策も考えうるが、重要なのは企業特有の内外環境に依存したOptimum Practice的なものである。なぜなら、Engagement施策の目的はあくまで「自社」に人材を結び付けておくことだからである。他社にも同様の施策があるのなら、「自社」で働く意味が薄れてしまう。

 さて、ここで「HRの独りよがり」に気をつける必要がある。人事で考えたユニークなEngagement施策より、「半径10メートルの職場環境」の方がよっぽど機能するというのは想像に難くないだろう。シンプルに言えば、自らを導くマネージャー、尊敬できる先輩、頑張りやの後輩、という環境があり、「ここで頑張ることが私にとってプラスになる」と考え、行動できることが、高いエンゲージメントそのものなのだ。HRがすべきことは、そういった環境を企業内に担保し続けることだ。会社である以上、職場環境、職務内容はいつでも変わりうる。変わった後でも、エンゲージメントを損なわせない企業環境を整備するのがHRの仕事だ。

 

 これらを踏まえた上で、Engagement施策を考えるうえでのHRのターゲットは下記の通りだと思う。

1.企業理念の行動規範化とロールモデルの量産⇒企業の方向性と行動規範の見える化 

2.チーム環境の平準化⇒この人達と一緒に頑張りたいというチームを全社的に担保

3.挑戦を促す施策と失敗を許容できる制度(+事例)⇒職務内容+αの挑戦を認める風土

4.金銭的報酬の市場性担保⇒やりがい搾取を許容しない

 実際にアクションプランを検討する際にはもっと考えることもあるだろうし、施策レベルでは膨大なアイデアが出てくるだろう。ぺーぺーの僕の頭の中は浅いけど、まあ軸はこれかな、と思う。

 

 いま報奨制度を作ろうとしている。面白いものにしたいな。報奨制度(Employee Recognition/Employee Awards)はEngagement施策の一つとして、少なくても東南アジア各国では一般的である気がしている(体感として)。日本でも改善提案等に対して報奨制度を設けている会社は多いと思うが、副次的な福利厚生制度という位置付けが主であると認識している(僕の個人的な認識です、日本で改善提案なんかしなかった)。

 

 ここで働くのが自分にとっての最善解って、思えるのは素敵だ。

 そう思う一方、そういう状況を他人に求めることには違和感がある。ありもしない「みんな」のことを考える仕事なんてあまりにも傲慢で馬鹿かもと思うよ、いつも。大衆なんていないって小沢健二も言っていたし。でも、とりあえずは考える。ところでアンガージュマン、スーパーマン的な、アンガージュする“人”的な意味かと思っていたよ。勉強になった。